SARI 8421 ART WORKS Painting


SARI8421-Painting

Title:【空白】Blank Space

僕はときどき、楽しい事や優しい言葉、暖かいものが心に触れると怖くなり、周りから貰ったプレゼント(言葉)を開封せずに捨ててしまう。

嬉しいけれど、長年培われた人間不信という名の拒否反応により自分から離れたり、辛い場所を選択してしまう。

そんな自分に自己嫌悪を感じ、自分自身に攻撃的になる。

「楽しい事も優しい事も大丈夫、怖くないと思いたい、受け取れるようになりたい」

そう念じるのだけれども、「幸せになっていいんだよ」の一言だけでは培った不安感を払拭出来ず、安心出来ない。

だから僕は何度も何度も自分に言い聞かせる。

「楽しい事優しい事は怖くない、安心して良いんだ」と言葉を心に張り付ける。

次の瞬間、「信じたくない」「痛くて辛い」「やめて」と心が、貼ったばかりの言葉を剥がしていく。

それで僕は、負けじとその上から言葉を貼りつける。

貼り付けて剥がされてのやりとりが延々と続いていく。

結局、言葉を直接貼るのは刺激が強過ぎて、気付けば自分自身も恐怖の対象になった。

自分自身も怖くなった僕は、次は直接ではなく箱に入った周りがくれるプレゼント(言葉)の真似をしてみた。

楽しい事は橙。優しい事は黄緑。

言葉に色もつけて可愛くしてみた。

箱に詰めながら案の定、恐怖と痛みが蝕んできた。

箱の中身を信じられなくて、信じてしまいそうで、唐突な過去のフラッシュバックに握りつぶされそうな感覚に引き摺り込まれる。

なので不安も一つ入れる事にした。

楽しい事と優しい事、それが不安な気持ち、紫。

不安を一つ入れる事で僕は少し安心できた。

四角い箱の中に橙、黄緑、紫を詰めていく。

現実的に箱の中でも、真ん中というのは居心地が悪く、真ん中は避けて目一杯端っこに詰め込んだ。

そのお陰で真ん中は空き、言葉たちを端に詰め過ぎて、四角だった箱は歪んで菱形のような形になった。

がらんどうな空間に箱を所狭しと積み重ねる。

周りからのプレゼント、僕自身の言葉をいくつ積み重ねても信じられなくて虚しくて、箱で埋め尽くされているのに空虚感に苛まれる。

「もっと沢山」安心出来るまで言葉が欲しくて箱を増やし続けるが、それと同時に満たされていく不快感、恐怖心で積み上げた箱が下から順に薄く透けて消えていく。

消えていく箱と新しく積み重ねる箱は、押し問答のようで拉致があかない。

虚しさばかりが増殖してやめてしまおうかと思う事もあるけれど、やめてしまったらまた空っぽな空間になってしまう。

僕はこの空間を埋め尽くしたい。

僕は人を信じたい。

僕は僕を信じたい。

楽しい事は楽しんでいい。

優しさも受け取っていい。

暖かい場所で生きていい。

苦しいなら頼ってもいい。

今はまだ無理でも、周りからのプレゼントを怖がらずに受け取って開封したい。

少しずつ僕の当たり前を変えていきたい。

「怖い」から「幸せ」に変えていきたい。

だから今日も「幸せは怖い事じゃないよ」「幸せになっていいよ」と箱を積み重ねていく。